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ザルティア錠(5mg/2.5mg)はED治療に使える?ザルティア錠の効果や副作用、シアリス錠との違いについて解説!

最終更新日:

前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬として服用される「ザルティア錠」とED治療薬として服用される「シアリス錠」。用途が大きく異なる2種類の薬ですが、含有されている有効成分「タダラフィル」は全く同じものです。保険適用される「ザルティア錠」をED治療薬として使用できるのかを含め、2種類の違いを詳しく解説します。

この記事の監修者

  • 金沢大学医学部卒業

  • 金沢大学附属病院 泌尿器科入局

  • 富山市立富山市民病院 泌尿器科入局

  • 金沢大学附属病院 助教

  • 医療法人良秀会高石藤井病院 医長

  • イースト駅前クリニック金沢院 院長就任

資格

日本泌尿器科学会認定専門医

所属学会

日本泌尿器科学会

目次※知りたい情報をクリック

ザルティア錠とは

有効成分 タダラフィル
容量 2.5mg/5mg
用途 前立腺肥大症に伴う排尿障害改善

ザルティア錠とは、有効成分「タダラフィル」を含む医薬品であり、前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善を目的として使用されています。2014年に厚生労働省の販売承認を得て、現在では「2.5mg/5mg」の2種類の規格が処方されています。

前立腺肥大症とは、その名のとおり前立腺が大きくなる病気のことです。前立腺は膀胱のほぼ真下に位置しており、尿道を取り囲むように存在する臓器です。前立腺が大きくなると、尿道が圧迫されるため排尿障害を引き起こします。

ザルティア錠の効果

ザルティア錠に含まれる有効成分「タダラフィル」には、前立腺や膀胱の筋肉の緊張緩和、血流の増加促進などの作用があります。服用により尿道の締め付けが軽減され、排尿障害への改善が期待できます。

(※1)

ザルティア錠の用途

ザルティア錠は前立腺肥大症による排尿障害の改善が用途

ED治療薬「シアリス錠」と同様の有効成分「タダラフィル」を含むザルティア錠ですが、その使用用途は、前立腺肥大症に伴う排尿障害改善です。ED治療薬を用途とした服用は承認されていません。

ザルティア錠にジェネリック医薬品は存在する?

タダラフィルが有効成分のジェネリック医薬品が存在します

次の製薬会社がザルティア錠のジェネリック医薬品を販売しています。前立腺肥大症に対する治療薬であり、ED治療薬を用途とした服用は承認されていません。

製薬会社名称 医薬品名称
あすか製薬 タダラフィル錠ZA「あすか」
キョーリンリメディオ製薬 タダラフィル錠ZA「杏林」
サンド タダラフィル錠ZA「サンド」
シオエ製薬 タダラフィル錠ZA「シオエ」
シオエ製薬 タダラフィル錠ZA「フソー」
ニプロ タダラフィル錠ZA「ニプロ」
沢井製薬 タダラフィル錠ZA「サワイ」
東和薬品 タダラフィルOD錠ZA「トーワ」
日医工 タダラフィル錠ZA「日医工」

ザルティア錠を服用する際の注意事項

ここでは、ザルディア錠を服用する際の注意事項について解説します。

服用に際しての注意事項を確認する

ザルティア錠の併用禁忌薬
・ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジルなどの硝酸薬(飲み薬・舌下錠・貼り薬・注射・吸入剤など全ての種類)
・肺高血圧治療薬のリオシグアト(アデムパス錠)

次の医薬品は、ザルティア錠の併用禁忌薬とされています。これらの医薬品を服用している方は、絶対にザルティア錠を服用してはいけません。一緒に服用した場合、血圧低下により時として致命的ともなりうる。また、以下の禁忌も事前に確認しておきましょう。他にも、年齢や病気、服用している医薬品により注意が必要な場合があるため、診察時に医師に確認しましょう。

ザルティア錠の禁忌
・これまでにタダラフィルに対してアレルギーなどの過敏症を経験したことがある方
・不安定狭心症のある方
・心不全の方(平地を歩くなどの普通以下の身体活動でも症状がある)
・コントロール不良(治療中にもかかわらず安定していない)の不整脈の方
・コントロール不良の低血圧の方(最高血圧が90mmHg未満または最低血圧が50mmHg未満)
・コントロール不良の高血圧の方(安静時血圧が最高血圧170mmHg以上または最低血圧100mmHg以上)
・最近3ヵ月以内に心筋梗塞の既往歴がある方
・最近6ヵ月以内に脳梗塞・脳出血の既往歴がある方
・重度の腎障害のある方
・重度の肝障害のある方

副作用の危険性を高めるものと一緒に服用しない

グレープフルーツの果汁には、ザルティア錠の副作用の危険性を高める成分が含まれています。しかも、それらの成分を摂った日だけではなく、2~3日持続する場合もあると報告されています。グレープフルーツの果汁を含んだジュースを飲んだあとに数時間あけてからザルティア錠を服用したとしても、タダラフィルの作用が強く出てしまう可能性があります。もしグレープフルーツの果汁を含んだジュースなどを飲んでしまった場合は、数日経ってからの服用が無難でしょう。グレープフルーツを摂取する習慣のある方は、近いうちにED治療薬を服用する可能性がないか、その都度判断していくことをおすすめします。

服用後に異常があった場合にはすぐに病院を受診する

  • 4時間以上の勃起の延長
  • 急激な視力低下・喪失、急激な聴力低下・突発性難聴

少数例ではありますが、外国の臨床試験において、ザルティア錠の服用後、4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が報告されています。持続勃起に対する処置を速やかに行わなかった場合、陰茎組織の損傷や勃起機能を永続的に損なう可能性もあります。また、外国においてタダラフィルを含む勃起不全治療薬の投与後に、まれに視力低下や視力喪失の原因となる可能性がある疾患(非動脈炎性前部虚血性視神経症)の発現が報告されています。服用後に上記のような異常が見られた場合には、すぐに病院を受診しましょう。

また、ザルティア錠の服用後は血圧が下がり、めまいや視覚障害(眼のかすみなど)があらわれる可能性があります。服用後に自動車の運転など、万が一体調不良となった場合に危険を伴う可能性がある場合は、慣れるまでこれらの作業は控えるのが無難でしょう。

(※2)

ザルティア錠とシアリス錠の違い

有効成分「タダラフィル」が含まれる薬剤として初めて登場したのは「シアリス錠」という医薬品です。ED治療に改善効果を持つ薬として開発され、2007年に日本でも製造・販売が開始されました。タダラフィルの作用によって陰茎の血管が長く拡張することで、持続性のある勃起を可能にするとされています。そのその使い勝手の良さから、人気に火が付き世界シェアNo.1のED治療薬となりました。

ED治療薬として開発された有効成分「タダラフィル」。しかし、服用を続けていくと、前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善にも効果的だという声が多数寄せられました。その後、詳しい研究がなされ、タダラフィルには前立腺や膀胱の筋肉を緩める作用もあることが判明しました。そして2014年、新たに「前立腺肥大症による排尿障害改善薬」として「ザルティア錠」の名で製造・販売が開始されたのです。

では、同じ有効成分を含むザルティア錠とシアリス錠の違いを詳しく見てみましょう。

ザルティア錠 シアリス錠
有効成分 タダラフィル
製造販売 日本新薬株式会社
製造販売承認年月日 2014年1月 2007年7月
使用・処方の目的 前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善 ED(勃起不全)の改善
保険適用 ×
規格・含量 2.5mg
5mg
5mg
10mg
20mg

目的・用途の違い

ザルティア錠とシアリス錠の最も大きな違いは、使用する目的が異なることです。ザルティア錠は「前立腺肥大症による排尿障害」、シアリス錠はED治療に用いられます。有効成分は同じでも、用途は全く異なるのです。

保険適用の有無

用途は違っても有効成分が同じなら、保険適用がされる「ザルティア錠」を処方してもらう方がお得だと思う方もいるでしょう。しかし、保険適用が受けられるのは「前立腺肥大症」という病気に伴う症状を治療する場合のみです。
EDの治療は自由診療(自費診療)となり、その改善薬のシアリス錠も健康保険適用外となります。
2022年4月より不妊治療に対するED薬の使用が保険適用となったことをご存じの方もいらっしゃると思いますが、年齢制限、回数制限があるのみならず、人工授精や体外受精・顕微授精などの専門的な治療を受ける方に限られるなど、そのハードルは極めて高く、決して誰でも手軽にという制度ではありませんのでご注意ください。

用量の違い

ザルティア錠とシアリス錠は同じ有効成分タダラフィルを含みますが、タダラフィルの含有量が異なります。ザルティア錠はタダラフィルが2.5mgまたは5mg含まれた2つの規格があり、通常は2.5mgを使用し、効き目が悪い際に5mgに切り替えます。

一方、シアリス錠にはタダラフィルが5mg、10mgまたは20mg含まれた3つの規格があります。10mgから使用し、効果がなければ20mgに増量するという考え方が一般的ではあります。一方で、健康な成人であれば10mgと20mgとの間に安全性に大差がなく、薬価自体も両者にわずかな差しかないことまで考慮すれば、最初から20mgを服用し、十分な効果や使い勝手の良さを実感するというのもある意味で非常に合理的といえるでしょう。5mgのタイプは腎臓の機能に問題がある方に対して使用されます。

(※3)

アドシルカ錠も成分が同じ?

肺動脈性肺高血圧症の改善用途で服用される「アドシルカ錠」も有効成分は同様に「タダラフィル」です。ザルティア錠、シアリス錠と大きく異なり、規格が「20mg」のみ、一日一回の服用で40mgを摂取します。アドシルカ錠も、ED治療薬としては販売承認されていませんのでご注意ください。

(※4)

ザルティア錠がED治療薬として服用されている理由

ED治療薬として承認されていないザルティア錠ですが、ED治療薬として服用を検討する人がいます。その理由としては、自費診療であってもザルティア錠はシアリス錠と比べて若干薬価が安いことが挙げられます。

しかし、現在ではシアリス錠のジェネリック医薬品が日本でも製造販売され、シアリス錠よりも安くシアリス錠と同じ成分のED治療薬を購入することが可能です。ED治療における費用の面を気にする方は、ザルティア錠ではなくシアリス錠のジェネリック医薬品を検討いただくのがよいでしょう。

ザルティア錠以外にPDE-5阻害作用のある医薬品はある?

  • レバチオ

 

  • アドシルカ

 

ザルティア錠以外で、PDE-5阻害作用があるレパチオ錠とアドシルカ錠の特徴を見ていきましょう。

レバチオ

レパチオ錠の有効成分は、バイアグラと同じ「シルデナフィル」です。1錠あたり20mgのシルデナフィルが含まれています。レバチオ錠は「肺動脈性の高血圧症」の治療薬として使用され、錠剤の他にODとドライシロップがあります。高血圧治療薬として利用されますが、PDE-5阻害作用に伴う持続勃起リスクがあることが注意事項として明記されています。ED治療薬としては認可されていない点を理解しておきましょう。

アドシルカ

アドシルカ錠の有効成分は、ザルティア錠やシアリス錠と同様の「タダラフィル」です。肺動脈性の高血圧治療薬として錠剤のみが販売されています。1錠あたり20mgのタダラフィルが含まれていますが、ED治療薬としては認可されていません。海外では、ED治療薬としてアドシルカ錠使用後に、NAINONという視力障害の疾患が発現したと報告がある点からも注意が必要です。

(※6,7)

ザルティア錠をED治療薬として使用することは可能か

万一の健康被害を想定した場合、おすすめできません。それ以前に、ザルティア錠をED治療薬として処方する医療機関そのものが本来は存在しないはずなのです

これまでに解説したように、ザルティア錠とシアリス錠は同じ有効成分でありながら様々な違いがあります。中でも、保険適用の有無による治療費の差については関心度の大きい話題ではないでしょうか?より経済的にED治療を受けるために、ザルティア錠をED治療薬として服用したい方も少なくないはずです。

しかし、薬剤は厚生労働省が承認した用途に合わない使用をすると時として大きな不利益を被る可能性があります。用途、目的に合った治療薬を必ず選択しましょう。

医薬品副作用被害救済制度を利用できない

日本では、厚生労働省が承認した医薬品による副作用で健康を害した際に、治療費などを保障してもらえる「医薬品副作用被害救済制度」という制度が整えられています。しかし、この制度は承認された医薬品を正しい方法で使用したときのみ適応されるものです。ザルティア錠もシアリス錠も厚生労働省から承認を得ていますが、用途はそれぞれ異なります。ED改善を目的にザルティア錠を使用して万が一副作用が起きても、この制度を利用することができません。

(※5)

ED治療薬としてのザルティア錠服用は厳禁!ED治療薬には、シアリス錠を

同じ有効成分「タダラフィル」を含むザルティア錠とシアリス錠。有効成分が同じでも、服用が必要な方の症状は、大きく異なります。経済的なED治療を目的に、保険適用されるザルティア錠でのED治療を考える方もいらっしゃいますが、万が一副作用が生じた場合の保証は一切ありません。安易な考えのもとの服用は絶対に止めましょう。

ED治療を検討する場合は、一度専門クリニックを受診して医師へご相談してみてはいかがでしょうか。イースト駅前クリニックでは、診察料ゼロ円。お薬代のみでのED治療が可能で、経済的な負担を抑えることができます。興味のある方はお気軽にご相談ください。

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